三崎 亜記『失われた町』


失われた町

確かすばる新人賞をとったデビュー作を読んだ時、”いらいらするけど、方向性は嫌いじゃない”という感想を書いた気がします。今時の若者っぽいドライな空気感があって、未熟でも個性があると思ったんですよね。

この作品は、伊坂幸太郎や恩田陸が書くようなちょっとSFっぽい世界が舞台です。そういう世界で、なぜか昼メロ風の感情表現がオーバーなキャラたちが、お涙ちょうだい劇をしていました。3ページで恋に落ちてました。たまに謎を追いかけたり、アクション活劇を繰り広げたりしてました。そういう訳で、作者がこれをどんな作品にしたかったのか、さっぱり分からなかったです。

新人賞作品が『限りなく透明に近いブルー』や『五分後の世界』にハルキ主人公が登場するような作品だったので、こう露骨に流行のエンタメを出されると、なんか複雑な気分。作品の評価が割れている理由が、わかる気がします。

2010年3月24日
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